「ちょっ!浩ちゃん!?人が見てるよ」


実際、斜め前に座っている人と視線が重なり戸惑った。


人前で電車の中でこういうシチュエーションは慣れてない。



「恥ずかしいからやめてよ」



「いいじゃん。今だけだからさ、肩貸してよ」


コツンとあたしの肩に顔を乗せて再び瞼を閉じた浩ちゃん。


「安心する…」



そう言って満足そうに微笑んだ。


安心っていいな。


心を許してくれている感じで凄く嬉しい。



降りるの駅まで10分間。


時々耳をかすめる浩ちゃんの寝息を聞きながら、あたしは窓から流れる景色を眺めては、窓に写るあたし達の姿が嬉しくて小さな笑みをこぼした。