「なに人の顔見てんだよ」
突然、瞼を閉じたままの浩ちゃんが呟きビクッとなった。
「お、起きてたのぅ~?」
なるべく平静を装うように言った。
浩ちゃんの顔に見とれてしまったなんて、とてもじゃないけど恥ずかしくて言えない。
「まだ寝てていいよ。まだ、着かないみたいだし…」
完全に声が浮ついていた。
浩ちゃんは「ふぅーん」と瞼を開けてあたしの顔をチラリと見る。
「ね、寝たらぁ~疲れたでしょうぉ~」
ダメだ。浩ちゃんに見とれてたなんて知られたら、もっと恥ずかしくなる。
地平線に沈んでいく太陽だけに集中していたら
「うきゃ!」
肩をイキナリ抱き寄せられた。