2人の存在を忘れていたあたしの顔はより一層赤く染まり
恵美達は「じゃあね、先輩と仲良くぅ~」と手をヒラヒラさせて帰っていった。
廊下に残されたあたし達。
「恥ずかしすぎるよ」と真っ赤になったまま言うと「いいじゃん。別に」とニッと笑う浩ちゃん。
「…うん。そうだね」と小さく呟くと、浩ちゃんの大きな手のひらがあたしの手を握りしめ「帰るか」と微笑んだ。
いつも通り慣れている廊下が、ちょっとだけ特別な場所に思えた。
三澤さんのことを思うとまだ胸が痛くてチクチクする。
けど、それ以上に浩ちゃんといてドキドキするのも確か。
今は、この自分の感情に正直に生きてみよう。
浩ちゃんの手のぬくもりを感じながら、そんな事を思った。


