思いもよらなかった浩ちゃんの登場に、みんな呆然と浩ちゃんを見つめた。もちろん、それはあたしも同じで。
「どうしてここにいるの?」と驚きながら聞くと「お前のことが気になって見にきた」とニカッと笑って答える浩ちゃんに胸がキュンとなった。
次第にざわつき始めた教室。
「いま俺の彼女って言ったよね?」
そんな言葉が飛び交った。
「本当なの!?」と興奮気味に聞いてきたのは三澤さん。
その表情は女の子と男の子の前で態度を変える余裕がない程の真剣な顔。
あぁ、この人は浩ちゃんが本気で好きなんだと悟った。
けど、浩ちゃんと付き合うと決めたのは本当だし、三澤さんの浩ちゃんへの想いを知ったいま、中途半端なことは言えない。
「ごめん。本当なんだ」
あたしは静かにそう告げた。


