あたしのハートはキミのもの


 「エェェーーーーー!!!」


 しばらくして響いた恵美の声。由紀も瞳を丸くしてあたしを見つめた。


 「シィーーーー!!!!」そんな大声出さないでよと恵美の口を手で塞いだあたし。


 教室でお弁当を食べていた数人のクラスメートが何事かとあたし達を見つめた。

 その興味津々の瞳から逃れるように体を机の下に隠した。手はもちろん恵美の口を塞いだまま。

 口を塞がれた恵美が、苦しそうにモゴモゴと口を動かす。

 「絶対大きな声出さない?」

 恵美に言うと、うんうんと首を縦に振って頷いた。
 本当だからね、出さないでよねと念を押して、恵美の口から手を離し、体を元通りにして何事もなかったように椅子に座りなおした。



 「で、本当に彰くんが浮気したの?」

 確かめるように聞いてくる恵美に「うん」と答える。

 恵美と由紀も以前、彰くんに会った事があって2人とも彰くんには好印象だったせいか、2人の落胆した表情は怒りも帯びていた。



 「そんなヤツ。別れて正解だっての」

 「そうそう」


 興奮気味に、お弁当のおかずを口に運ぶ2人。

 あたしの為に怒ってくれているのが嬉しくて、思わずあたしは笑み浮かべた。