「別に。いいでしょう」
助けてもらったのに、その言い方はないなと自分で思いながらも、からかられていることは、やはりいい気持ちではなく
「とにかく、ありがとう」
助かりましたと、頭を少し下げて教室に戻ろうとした時だった。
「待てよ」
不意に呼び止められて足を止めた。
「なに?」
早く教室に戻らなきゃいけないんだけど、石崎くんもそうだよね?と言おうとしたら
「お前さぁ、あの先輩と付き合ってんの?」
そう聞かれて、目を丸くして石崎くんを見つめた。
付き合っているのかって・・・どうして石崎くんから聞かれなきゃいけないんだろう?
「なんで?石崎くんまでそんな事を聞くの?」
まさか石崎くんまで浩ちゃんに興味があるの?と思ってしまったあたしの耳に
「なんでって・・・お前のことが好きだからかな」
想いもよらなかった言葉が聞こえてきて、あたしは自分の耳を疑った。


