突然の彼の登場で表情を一変させた三澤さん。
「あら、石崎くん。別になんでもないよ」
そう言うと、他の女の子達を連れてどこかに行ってしまった。
静かになった踊り場でチラリと石崎くんを見ると目が合った。
ずっと同じ学校に通っている石崎くん。
だからといって、特に親しいわけでもない。
これって、助けてもらったんだよね?お礼、言わなきゃね。
「ありがとう。石崎くん」
そう言うと別にと、なんだか少し照れくさそうに目を逸らされた。
「なんか、大変だな朝っぱらからみんなの注目あびて」
「もしかして、見てたの?」
「あぁ、先輩とのラブラブ登校か?」
ニヤッと笑われて、からかられているような気持ちになって嫌な気持ちになった。


