自意識過剰気味な男はさておき。
「うわー…マジで異世界かよ…」
今更落ち込んだ。
さっきからべったりくっついて離れないこの龍は可愛いが、現実をつきつけられているわけで。
「つーかホントにお前は何者だ?
龍は人間になつかない。
それに、俺を見ても何も言わねぇ」
「勝手に言ってろ」
確かに男はイケメンだ。
しかし海翔で慣れてしまった。
「悪いけど、私はイケメンに耐性あんのよ。身近にいるからね。あ、美女も同じく。
だからアンタについては何とも思わないわけ。
ただ、その夜明けの色した髪色は、すごく綺麗だとおもう」
薄い水色がかった灰色、とでも言うのか。
彼の髪は、朝の早い時間の色をしていた。
そんな夜の何気無い一言。
それに男は―――
「え、何で笑うの?」
笑ったのだった。それも、ふんわりと、優しい笑いで。
「―――いや……初めて、言われたものだから」
なんだろう。表現が気に入ったのだろうか?
すごく嬉しそうだし、まぁいいか。
「キュウウゥ」
と、腕に抱いていた龍が寂しそうに鳴いた。
何か、混ぜてくれ的な意図を感じる。
「あ、寂しがってる〜。てか名前なんだろ。
勝手につけちゃうか!
目が紅いろだから、暁ね!」
「クルルル!」
あ、嬉しげ。うん、いい感じ!
ほら、金星探査機みたいでいいよね!

