「……反射神経はいいようだな」
「そりゃあどうも!いきなり切りつけるなんて最低だねアンタ」
「仕方無い。お前が異世界から来たのならば、『騎士』か『魔女』だろう。
最悪の場合、『賢者』の可能性もある。
それならば早々に芽を摘むのが国の為だ―――!」
言い終わると同時に剣が振るわれる。ヤバい。こっちは丸腰だっつの!
「丸腰の一般人に切りつけるとか、本当サイテー!最悪だよフードの人!」
「ふっ、『一般人』ならば、な―――」
何とか避けるものの、ヤバい。終わりが見えない。
このまま避け続けるのは困難。つか、無理!
すると、どこからともなく…
「―――うわっ!?」
フードの人に何かがぶつかった。
体勢を崩した男は倒れこんだ。
今だ!
「てやっ!」
手から離れた男の剣を、私は思い切り蹴飛ばし、河に沈めた。
ボチャンといい音が鳴った。
「クルルー」
「……腹の虫?」
「俺じゃねーぞ」
あ、違うんだ。
倒れた拍子にとれたのだろう。
フードが無くなっていた。
「あ、可愛ー。何その生き物」
「俺は無視かコンニャロー」
男の側には、四十センチくらいの白い生き物が此方を見ていた。
「なにこれ可愛い!目パッチリ!あ、紅い目だー。
羽も生えてて、まるで龍みたい(笑)」
「いや、龍だろそれ」
「……え?」
「だから、龍だって。つーか俺は無視なのか?
俺の顔を見たやつは、大抵言い寄ってくるんだが」

