入学式。
あたしは、不機嫌だった。

「……つまんない…」

校長先生とか、理事長先生とかの話って長すぎるといつも思う。
すごく眠いし。
ていうか寝そうだ…。
どうしようか。

「眠いの?」

「!?」

急に隣から声が聞こえてきた。
何て言うんだろう。低いけど、高い声、みたいな。
きれいな、声だった。

びっくりして横を向くと、かわいい顔の男の子が顔を覗き込んでいた。
あたし、そんなに眠そうな顔してたんだ…。

「肩、貸そうか?」

「え!?」

あ、ちょっと大きい声出しちゃったかも…。