「あっ、ちょっとごめんね」


美優は、慌てて涙を拭い、オレから離れると電話に出た。


「あっ、先輩?」


かすかに漏れる声から、電話をかけてきたのが男だと分かる。


誰だ!?


「はい、はい。分かりました。出来るだけ早く行きますね」


そう言うと、美優は電話を切って、振り向いた。

「ごめんね、勇人。私、帰らないといけなくなっちゃった」