「美優!」


オレは、たまらず美優を抱き寄せた。


「ごめんね、泣いちゃった…」


空気を変えようと、わざと明るく言っているのが分かる。


「いいよ。泣けよ。我慢するな」


「うん…。ありがとう…」


美優はオレに寄り掛かるようにして、しばらく泣いていた。


あ…。何かいい匂いがする…。


花みたいな匂いだ。


それにしても、こいつ細いな…。


オレが目一杯抱きしめたら、骨が折れそうだ。


しばらく、美優を抱きしめていた時だった。


携帯の着信音が鳴り始めた。