「悪いな。わざわざ」 「ううん。会えて良かった」 そうだよ。 会えなかったら、どうするつもりだったんだろ。 「探した甲斐があった~。お礼も言えたし、シャツも返したし、これで帰りますね」 探した? オレ達を? 小さく手を振って帰ろうとする美優の腕を、オレは思わず掴んでしまった。 「ちょっと待って」 突然の事に、戸惑う美優を見ながら、オレは引き止めずにはいられなかった。 「送るよ。家まで」