建物の外へ出ると、さっきまでの騒ぎが嘘のように、静かになっていた。
「夜だったからな~。周りに気付かれたかもな」
勇人は少し困った様に、そう言った。
2人の後をついて歩き、勇人の背中を見ていると、ドキドキしてくるよ・・・。
「勇人、ありがとう。竜さんも・・・」
ぽつりとそう言うと、2人は振り返った。
「良かったよ。何にもなくて」
久しぶりの勇人の笑顔を見て、胸がきゅんとなる。
やっぱり、私って勇人が好きなんだ・・・。
こんな事に巻き込まれても、やっぱり勇人が好き。
でも、それは、もう叶わない想いなんだよね。
「本当にありがとうね。私、もう大丈夫だから、このまま帰る」

