「美優、立てるか?」 「う、うん」 勇人に腕を持ってもらい、立とうとした時、 「勇人~てめぇ~!!」 顔中アザだらけの男が、殴りかかろうとした。 「勇人!後ろ!」 思わず悲鳴に近い声を上げると、勇人は私の肩を抱いたまま、片手で男を殴り倒した。 「100年早いんだよ。オレに挑もうなんて」 気を失った男を見ながら、勇人はそう言った。 か、片手で、人を気絶されられるの? もう、開いた口が塞がらない。 「勇人、もう行こうぜ」 竜さんが少し息を切らしながら、私たちを見た。