また、含ませた言い方で、竜は電話を切った。
どういう意味だ?
自分の気持ちと、今の状況に闘う…?
釈然としないまま、切れた携帯を眺めていると、珍しく慌てて親父が部屋にやって来た。
何て、いいタイミングなんだよ。
「どうしたんだよ親父。珍しく慌ててるじゃん」
その顔から、緊迫した感じを受ける。
一体何があったんだ?
「勇人。お前、実和ちゃんとすぐに婚約しろ」
「え?な、何だよ突然」
それをしてしまうと、本当にさようならだ。
美優と。
戸惑うオレに、親父はさらに衝撃的な事を言った。
「実和ちゃんが妊娠した」

