「とにかく、入りなさいよ」 母さんはそう言うと、部屋のソファーにゆっくりと座る。 「なあ、親父がどこに行ったか知らないか?」 オレは立ったまま、母さんを見下ろす様に尋ねた。 「え?お父さん?さあ。昔から、お母さんには何も言わないから」 そう言うと、オレを見上げながら、微笑んだ。 本当かよ。 いまいち母さんも信用出来ないからな。 「まあ、いいけどよ。それより、親父がオレの女に嫌がらせをした」