「待って。勇人出かけるの?」 「ああ。お前も知ってるだろ?上本組の竜。あいつ、オレの親友なんだ」 竜に会いに行くなら、親父も何も言わないし…。 その後、必ず美優にも会いに行こう。 誰よりも会いたいよ。 美優…。 「竜さん…なんだ。じゃあ、仕方ないね」 お? さすが、ヤクザの娘。 竜の名前を出したら、大人しくなったな。 「じゃあ、悪いけど、オレは出かけるから」 そう言って、オレは足早に部屋を出た。 実和の不安そうな顔には、気付かずに…。