「キカイ」の子

「その部屋に、夏美ちゃんはいないよ。」






今にも冬彦の手が取っ手に届きそうなところで、冬彦に声が掛けられた。









「と、父さん…」


「……健一さん…」








冬彦と透は揃って横を向き、二人を見ている健一を見返した。






健一は険しい顔で透と冬彦を交互に見て、

「うちの息子がいないんで、もしかしたらと思ったんだが……やはり、君を呼びに行っていたか…」

と言った。







「け、健一さん…夏美は…夏美は?」






冬彦は今にも倒れそうな歩き方で健一に近寄りながら問い掛けた。







「…!……高椿君…」





一瞬だけ健一は驚いた顔をして冬彦を見たが、軽く咳払いをすると彼に背を向けながら話した。








「ついておいで…夏美ちゃんのところに案内するから…」