「キカイ」の子

二人はあれから雨を気にもせずに駅まで走り、扉が閉まり始めていた電車に駆け込んだ。







中にいた乗客は皆、奇妙な客に目を向けていた。








冬彦は制服姿で透は私服姿、更には両者ともにずぶ濡れだったのだから、注目の的にならないはずがなかった。








しかし、今の冬彦達にとって他の乗客などいないものに等しかった。




冬彦はドア付近で透と並んで立ち、彼に話し掛けた。






「透…夏美にいったい…」




「わかんねぇ…でも…」





「でも…?」






「父さんの様子からして…かなりヤバい。」





「そんな!…健一さんは何て?」







「何も言わなかった…」







「……そう…か…」








冬彦が力無くそう呟いた後、二人は目的地に着くまで、ドアにもたれ掛かったまま一言も話さなかった。