「キカイ」の子

「そう。」




「だから、勉強が得意とかは、その人の能力になるんだから…つまり…『歯車』の『歯』になるんだよね?」







「そうだよ。」







「それで、その組織…社会とかを動かすには、組織にあった能力を持つ人間なら、誰でも良い…これは、例えば…医者なら医学に詳しい人なら誰でも良いってこと?」





「うん!その通り!」





冬彦は、ようやく、夏美の言ってることを飲み込むことができた。



…そうか…確かに、医者になるなら医学に詳しければ良い、でも、そこに個人っていう考えはないんだ…


例えば、夏美の主治医が健一さんでなくても、夏美の病気について詳しい医者なら…誰でも良いんだ…







冬彦がそこまで考えた時、ある疑問が湧いてきた。









…ん?なら、勉強が出来れば、その人を必要とする場所が増えるんだから…その人は幸せなんじゃないのかな?