「キカイ」の子

風呂から上がり、歯を磨いて、自分の部屋に上がった冬彦は、勉強することにした。







だが、彼の手はなかなか進まなかった。



問題が難しいからではない。




彼の頭に夏美が浮かび、集中することができなかったからだ。






……ふぅ。いったい何なんだろ?






冬彦は椅子にもたれ掛かって、天井を見た。






だが、そこに夏美は描かれず、病院のロビーで見た透が描かれた。







鍬原さんは…十一月までに……死ぬ…?






透の言葉を思い出した瞬間、冬彦の胸は強く締め付けられたような痛みを覚えた。







彼の背には冷たい汗が流れていた。