俺のあたふたとした態度で分かったのか透はニヤッと笑うと

「大丈夫。忘れてるのは俺のことだけだよ。お前のことはちゃんと覚えてるよ。真理亜は――――」

そう言って愛おしそうに真理亜の髪を撫でた

クソっ…!!

なんで、こんな時には優しんだよ

なんでいつもこうしてあげなかったんだよ!!

俺は怒りが沸々と湧きあがって来た


でも、その怒りを抑えたのは優しくて澄んだ鈴のような真理亜の声だった

『好きだよ…光輝――――』

寝言だったけど、この言葉を言った時の真理亜の顔を俺は一生忘れないだろう

まぁ、透はこっちをめちゃくちゃ睨んでたけれど…。