思い出すだけで、じんわり瞳に涙が溜まる。



夢じゃないよね?
本当に大好きなあなたがわたしの彼氏なんだよね?



ふいに抱き締められた時の優しい温もりを思い出してカァッと顔が熱くなった。



『……白羽…』



そう呼んでくれた声まで思い出して……また泣きそうになった。



自分の名前が…まるで特別なものになったみたいに聞こえた。



「………わたし、彼女………なんだ………。」



思わず、ポツリとつぶやいた。



口に出すと……それはずっと現実感を増した。



わたしも……あなたを名前で呼んでみたいな…………。



「………さ…く……や…くん………………~~~!!!」



本人もいないのに赤面って………っ!?



わたし……ダメダメだ…………。



「………っ!」



ううん………!



がんばる………!!



わたしの明日の目標…………









月城くんを名前で呼んでみせます…………!!!










「………さっ、咲、さく……………っ」










が…っ、がんばるもん……………っ!!?











――――10分後。





「……………さく…さく…………言えないよぉーーーっ!!!」










名前を呼ぶって…こんなにハードル高かったですか…………?