俺はいつもの日課である日記を閉じて、はぁ…と小さくため息をついた。


俺の家は代々続く弓道道場を開いていて、


日記は俺の弓道の師範である祖父から…『一日をじっくりと振り返る為にも毎日日記をつけろ』

…そう小さな頃に言われ
それ以来毎日欠かさずつけている。


大体の内容は、練習のことが大半で…後はその日の出来事。


そんな俺の味も素っ気もない日記に
初めて女の子の事が加わった。


思い出すだけで、心臓はドキドキうるさいくらいに騒ぐ。


何度か女の子に告白された事はあったけど…弓道以外に興味のない俺がそれに応える事はなかった。


「……あの子、可愛かった………」



…………小さくて可愛くて…子うさぎみたいだった…。


駄目だ……!!


モヤモヤとして眠れそうにない俺は、
道場で一汗かこうと立ち上がり部屋を後にした。