ド ロ ボ ウ ネ コ (改)

「帰って」


聞こえないふりをしているのか、本当に聞こえないのか。

あたしの言葉を無視して、あの人は足を進める。


「ちーちゃん、家どこー?」


仕方ない…


「帰えんないと嫌いになるから」


今まではしゃいでいた人が急に静かになる。


「マジ…?」

「マジ」


そう言うと、慌てて引き返してきた。


「じゃぁちーちゃん…オレ帰るね」

「うん、そうして」


あたしの冷たい言葉に傷付いたのか、あの人はトボトボと帰っていった。

「またね」という言葉を残して。