「結平…あたしたち、会うの止めよ」


そう言うと、結平が驚いた顔であたしを見た。


「結平、辛いでしょ?あたしとお母さんの板挟みで」

「そんなこと…!」

「あたしと会うと、どうしても早く離婚しなきゃって思うから…」

「……」

「あたしができる唯一のことなの…ね?そうしよ」


結平があたしに近付いて抱き締めた。

あたしも結平を抱き締める。


「…分かった」


そう耳元で結平が言った。


「でも絶対迎えに行くから…」


まっすぐ目を見つめられる。

その瞳には少しも濁りはない。


「待ってて…ちーちゃん」


そう言って、結平は部屋を出ていった。

あたしはその夜、ベッドの中で静かに泣いた。