あれから、男と寝ることはなくなった。

告白をされても断るようになった。

まっすぐ家に帰るようになった。


「……」


片手に参考書を持ちながら、今日も家に帰る。

そろそろ受験勉強をしなければならない季節を迎えた。


「ただいま」


玄関のドアを開けると、ある光景が目に入る。


「……」


結平とお母さんのキスシーン。

あたしはただそれを見つめることしかできない。

ギュッと参考書を握り締めた。