勇気を出した。 一瞬の勇気。 最後の方はかすれて声が出なかったけれど、 届いたと信じている。 「わかった」 「じゃあ今から鍵開けるね、ちょっと待ってて」 電話を切った瞬間あたしは髪とベッドをきれいに整えた。 38.5℃なんて熱、嘘のように階段を駆け下りた。 ガチャ。 鍵とドアを開ける。 「弥生…大丈夫か?」 「なんかごめんね?」 「いや、俺があんなところにいたから…丁度良かった。」 うまく話せない。 目が合わせられない。 …でも、幸せ。