さくら、ひらひら。





お母さんには絶対に心配をかけたくない。

しかも、恋の話なんて…。


そんな話をするくらいなら、早くお母さんを寝かせてあげたい。


お母さんは毎朝4時ごろ起きて、あたしが起きるころにはもう家を出ている。

それで、夜遅くに帰ってくる。



「もう一回聖治に電話しようかな…」



誰もいない部屋にぽつりとあたしの声が響く。





その時。



誰かからの着信を知らせる音。





「え?」






あわててケータイを開くとそこには聖治の文字。