「えっ!あ…」 「繋いでいい?ていうか、もう繋いじゃったけど…」 あたしより大きくて、ごつごつした「男の人」の聖治の手が あたしの手を包み込んでいる。 空を見ると、雲がたくさんあって、 月が隠れていた。 どおりで真っ暗だと思った…。 それからあたしたちは何もしゃべらずいつの間にか家に着いていた。 いつもなら素直に「ばいばい」っていえるのに 今日は繋いだ温かい手が冷たくなるのが怖くて、解けなかった。 歩きながら盗み見た聖治の声が、横顔が。 今にも消えてしまいそうに弱弱しかったから。