毎日、毎日お母さんは「働いている」というイメージしかなかった。 「いい?弥生。中学校の卒業式なんて一生に一回しかないのよ? 大事な娘の卒業式に行かなくてどうするの!」 そう言って、「じゃ、行ってらっしゃい」と微笑んだお母さん。 お母さんの笑顔はいつもと変わらず、 優しかった。 あたしもニコッと笑って、家を飛び出した。 「あ、弥生っ!おはよー!」 「優依!?早くない!?どうしたの?」 「それひどいしー!親がね、卒業式ぐらい早くいけってさ?」