「…いや、今は聞かない!今は熱を下げる方が大切だもんな!」
そう言ってハハッと笑う大。
どうしてそんなに優しいの?
あたしの答えなんて分かってるくせに。
聖治が気になったが、それを聞くのはあまりにも酷だと思い、
後で聖治にメールすることにする。
「弥生、大丈夫?のど乾いてない?プリンとか、アイスとか買ってこようか?」
「大丈夫。ホントにみんな心配性なんだから。」
あたしがあははと笑うと大は、
「…元気そうなのに、熱い」
と、あたしの手をそっと包み込んだ。
あたしは切なくなって、声も出せなかった。
もちろん手を振り払えるわけもなかった。
だって、大の顔が…
今までに見たことないくらい悲しそうな表情をしていたから。