君に嘘を捧げよう


「あーもーなんなのー」

朝からずっと暇さえあればひっついてくるカイに俺はため息をついた。

もちろんひっついてるのは俺じゃない。

「アーヤーネーちゃーん♥」

「ひゃあっ」

うしろからいきなり飛びつかれたアヤネはビックリしている。

「もう遠藤くんっ」

遠藤というのはカイのことだ。

「そないな遠藤くんじゃなくてカイ♥でええんやで?」

「ハートつけんな!」

「なんやタクト、お前にはいっとらんわ」

「人の彼女だぞ!」

そういうとカイは俺の耳元で、

「仮、やけどな」

とどこか冷たい声で言い放った。

その瞬間、俺はヒヤッとした。