今日は少し気分がいい。
「和泉、ありがとね」
素直にお礼を言って、二人で海のアパートまでの道を歩く。
「兄貴が、来週は病院来いってさ」
浮かれているあたしを、諭すように、和泉が言う。
和泉のお兄さんは、医者であり、あたしの主治医。
和泉はこう見えても、大病院の息子なのだ。
両親が医者。
優秀な兄に、とんでもない弟。
意外と珍しくもない話だ。
「行ったって治るわけじゃないのにね」
このひねくれた性格は、誰に似たのだろうか。
「へぇ。"カイくん"はこの近くに住んでるんだ」
あたしに気遣ってか、話題を変えて、わざとおどけて和泉が言う。
駅前の、大通り。

