「強いて言うなら、過去にさよなら、かな」 ライターの火をつける。 食器棚から、歩美がくれたマグカップを取り出し、そこに写真をかざす。 1枚ずつ、ゆっくりと。 思い出は、黒い灰になって、マグカップの中に、収まっていった。 全部の写真が黒い灰になってから、レイの方を向く。 「よかったの?」 その目は、怯えたような、今にも泣き出しそうだった。