「伶良、話があるんだ」

そう言って、真面目な巧がいつも以上に真面目な顔をして病室に入ってきたのは、もうすっかり日も暮れた時だった。



「なに?今度はどうしたの、そんな真剣な顔して。もう、悲しいお知らせはごめんだよ」

努めて明るく言えば、巧は少しだけ悲しい顔をした。



何も言わずに、ベッドの傍に置かれた椅子に腰かける巧の顔は、医者の顔ではなかった。

間違いなく、あたしの知らない男の顔だった。