チャイムが鳴り、あたしたちは立ち上がった。 「戻るか」 「………うん」 正直、戻りたくなかった。 この夢のような時間が終わってしまうような気がしたから。 そんなあたしの心を察したのか、隼人があたしを片手で引き寄せ、 自分の胸に沈めた。 「俺はここにいるから。ずっと奈江といるから。 だから心配すんな」 隼人の言葉が心に染みる。 あたしは隼人の隣に戻れたんだ。 隼人の隣で笑っててもいいんだ。