「武井……初めて名前呼んでくれたね」 あたしは武井が助けにきてくれた時のことを思い出しながら言った。 「そうだっけ?」 武井はそう言いながら首を傾げた。 「そうだよ! いっつも“おい”とか“お前”とかだったもん」 「ああ……ごめんな」 そう言って武井はあたしの頭を撫でた。 「そういえば奈江、隼人って呼んでくれねーの?」 「えっ?」 「ずっと武井じゃん」