諦められなかった恋だから。


何度も諦めようと思った。


伝えてフラれる位なら、ただのクラスメイトで良いって。


特別になれなくても、普通に喋れば良いって、勇気が無いことの言い訳。


でも、その普通もこれからは出来なくなる。


それで良いの…?


自分に問いかけて、気付いたら教室を飛び出してた。


走って走って、彼を探す。


もう帰ってしまったかも…と一瞬、不安になる。


でもそんな思いを振り払って校庭に出ると、見覚えのある後ろ姿を見付けて立ち止まる。


背はそんな高くなくて


ちょっと猫背


靴の踵を踏んで、ちょっと引きずって歩く


間違いようの無い彼の姿。


だって三年間見てきたんだから。


あたしは一瞬、深呼吸をして再び走り出す。


彼に想いを伝える為に。


フラれても良い。


後悔したくない。


だって、諦められなかった恋だから…。


*END*