おんなじ顔の2人を目の前に、透はただ驚いた
それは桜がちょうど咲き始めた頃の季節だった
小学校1年から同じクラスの幸多に、弟がいたことは聞いていた
だけど、双子だなんて透は知りもしなかったんだ
ある日相変わらず愛想の良い笑顔で、幸多は笑って言った
心から嬉しそうな笑顔だった
「4年から弟もこの学校に来るんだ」
透は幸多の笑顔についつられて、表情がゆるんだ
幸多の弟の奏多の話は何回か耳にしていた
幸多の家は家計が厳しく、弟を親戚の家に幼いころから預けているという
しかし、最近経済的に豊かになってきて、弟も一緒に住むことになったと幸多は透に説明した
弟と聞いていたから、3年生か2年生か1年生だろうと、透は自然と予想していた
しかしいざ会ってみれば、幸多と瓜二つの同い年の少年が奏多だった
幸多は奏多の隣で嬉しそうに笑みを浮かべていたが、奏多は無表情だった
透は思わず奏多をまじまじと見た
見分けはついた
いつも見てる幸多にない目の下のほくろが奏多にはあったから
いつも幸多は笑顔で無表情をあまり見ないから、幸多と同じ顔の奏多が無表情なのに透はなんだか違和感を感じていた