「にしても、バレた相手が相原さんで良かったな」
透は小動物っぽく少し童顔な顔を奏多に向ける
「うーん、良くはないけど」
「まぁな、けど相原さん何も言ってこないんだし、人に言いふらすような感じじゃないじゃんか」
「そう見えるけどな。本当はどうなのかわかんねーし」
話ながら2人はパンを頬張る
特に透に好みのパンを指定したわけじゃないのに、透が奏多に渡したパンは奏多が好きなシンプルなバターフレーキと焼きそばパンだった
「大丈夫だと思うよ、相原さんは。性格悪くないし」
「よく知ってるわけじゃないんだろ」
「そうだけど、1年間クラス一緒だったからなんとなくわかるよ。相原さん、意外に男子から評判よかったぜ」
「へぇ、なんで?」
「おとなしいし純粋な感じだからな。あとポニーテールがいいらしい」
透は最後にちょっと笑った
「ふーん」
相原真琴の長い一つに縛った黒髪が、奏多の脳裏に浮かんだ
そういえばいつもポニーテールだ、奏多は思った
奏多はあんまり人を観察して洞察する努力をしないから、女子の中で誰が人気だとかそういうのに疎かった
男子とそういった話をあんまりしないのも、疎い理由だ

