透は驚きを隠せない様子で奏多を見つめる
湿気の多い風が透の短い黒髪を撫でた
なんだか雨が降りそうな天気だ
透は自分を落ち着かせて、渡り廊下のコンクリートに視線を落とした
「それってこの上なくきまづくね?」
「うん」
「相原さんはなんか聞いてこなかったのか?」
「聞いてこなかった。昨日も今日も」
「どう思ってんだろうな」
「わかんない。朝、若干相手もきまづそうにしてたけど」
「ふーん。にしても相原さんはやっぱり幸多が…?」
奏多は頷いてみせた
透は後頭部らへんを大袈裟にかく
「へー、そうなんだ。まぁ委員会同じだったしな」
そう言ってから、透は購買で買ったパンを奏多に2つ渡した
透は残ったパンを頬張りつつ、財布を開いて小銭を取り出した
「釣り」
そう言って奏多に手渡す
いつも購買に3時目の休み時間に行く透に、奏多はついでに自分のものを頼んでいた
奏多も透に渡されたパンを食べ始める
透が口の中のものを飲み込んでから、口を開いた

