なぜかというと、そっくりでも決定的に違う特徴があるのだ
それは幸多と奏多以外の人間からしたら、とても見分けやすく助かるものだ
それは、黒子があるかないかだった
泣きぼくろがあるほうが、奏多
ないほうが、幸多
この少しの違いも女子からは人気らしい
あとは違いといえば、勉強も運動も同じように出来るのだが、幸多は部活に入っていて奏多は部活に入っていないことだ
2人の他人に露出する違いはそれくらいだろう
だから他人から見れば幸多と奏多はほとんど同じだった
本当はまったく似てもにつかない性格であることを知っている人は何人いるだろうか
それは本当に数えるほどしかいないのだ
その1人が幸多と奏多の幼なじみの小柳透(コヤナギトオル)であった
透は昼休みになると、だいたい人気のない3階の渡り廊下にいる
昼休みは透と奏多の2人で過ごすことが多い
たまに幸多も加わるが、幸多は大抵昼休みはクラスにいた
そして今日も奏多と透は3階の人気のない場所で、パンをかじった
渡り廊下で食べるのは今日はやめた