涼雅の右手には丸まったシナリオ本。

 「どこまで進んだ?」


 「それが全然…進んでません…夕海が…私では相手役…ダメみたいで…会長が
来てくれて…安心です」


 「……」


 隣に立つ私を見つめる涼雅。


 でも分厚いレンズでよく瞳は見えない。


 「自分が書いたシナリオだろ?ちゃんとしろよ~」


 「そう言われても…」


 そして涼雅とともに…読み合わせ。


 涼雅は既に台詞を丸暗記していた。


 声もトーンにも感情が篭っている…

 表情もジェスチャーもカンペキ!!