俺は香住の元に急ぐ。


 俺は黒角さんから香住を引き離して…自分のケータイの中に入れた曲を少
しだけ聴かせた。

 「この曲がお前に書いてもらいたい…曲だ」


 「え、あ…」


 「少しでもいいから~早めに歌詞を書いてくれ」


 そう言い捨てて…俺はケータイを香住に預けて元の場所に戻った。


 シンさんの得意なスローなバラード曲。


 低い声の俺にはピッタリだとシンさんは言った。


 シンさんの期待に応える為にも…いい歌詞を付けたい。でも俺には出来なかった。



 すべてを香住に委ねた。