紺野小百合は、渋谷駅で山沖博士と待ち合わせをしていたとき、ふと今日がバレンタインデーであることに気がついた。

チョコレートというものもしばらく食べていない。原材料であるカカオが日本国内でほとんど手に入らないのだから、仕方ないか。
と思った。

小百合が学生の頃は2月になれば街が一大イベントであるかのように、バレンタインデー一色になり、あちらこちらで色んなチョコレートを販売していたものだが、10年前からそんな気配はとんと無くなった。