靴箱に、広也の靴が無いだけで。



「そういやさ、広也が前に……だったよな」


みんな、広也の話をすると全てが過去形になってしまうだけで。


悲しい。
広也ともう会えない。
話せない。


目に映らない。



それが悲しい。


それを全て品濃はうちが
言わなくても感じ取って慰めてくれて……。



たくさんの過去がうちをがんじがらめにする。



品濃と過ごした、二年生。
広也と過ごした、三年生。


どちらも今のうちに
絡み付いてきて、離れなくて。