紛らわしたかった。

伴奏をたくさん弾いて、
広也が一年の時、
弾いていたあの伴奏。

今だって毎日弾いてるんだよ?


鍵盤がうちの涙で濡れていく。


と、音楽室のドアが開いた。

そこには広也が居た。



「やっぱ、未紀。」

「広也!?大丈夫なの!?」


具合悪そうに広也はピアノに近付いた。