「大丈夫だよ 今までどんな病気だって治ったんだから悪性の腫瘍だって…」 俺は不安で仕方なかった。 家に帰って、しばらく 考えていた。 ───もし、死んだら? 初めに思ったのは高添と別れなきゃいけないことだった。 死んでしまったら…。 「高添!」って呼べない。 高添に触れられない。 「好きだ」って言えない。 抱きしめられない。 キス出来ない。 何より、高添の瞳に 映れない。 考えるほど悲しみは渦を巻いて俺を飲み込んだ。